大判例

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大阪地方裁判所 昭和45年(ワ)4599号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(七) 通勤交通費 三六、〇〇〇円

<証拠>を綜合すると、原告は、昭和四四年一一月四日から復職したが、同日から二四日間は左足の疼痛のためタクシーで通勤する必要があり、そのためタクシー代として一日往復一、五〇〇円の割合による二四日分合計三六、〇〇〇円を要したことが認められる。

(八) 休業損害 五三、九二〇円

<証拠>によれば、原告は、事故当時三三才で大阪市水道局職員として勤務していたが、本件事故による受傷のため、昭和四四年九月四日から同年一一月三日までに四九日間休業を余儀なくされたが、年間四五日以上病気欠勤すれば昇給が遅れるため、そのうち三〇日は有給休暇をとり、一九日間病気欠勤の手続をとつたこと、原告は、右休業期間中事故がなければ当然得られた筈の一ケ月二五、〇〇〇円の割合による残業手当二ケ月分合計五〇、〇〇〇円と一日八〇円の割合による現場手当四九日分計三、九二〇円、以上合計五三、九二〇円の収入を失つたことが認められる。しかしながら原告が三〇日間有給休暇をとつて休業したことによつて財産上の損害を受けたものということはできず、右事情は慰藉料算定についてしんしやくするべきものというべきである。

(九) 慰藉料 四五〇、〇〇〇〇円

前記三(一)の原告の傷害の部位、程度、治療の経過および期間、前記三(八)の休業の事情などを合わせ考えると、原告が本件事故によつて蒙つた精神的損害に対する慰藉料額は四五〇、〇〇〇円とするのが相当であると認められる。

(十) 過失相殺

<証拠>を綜合すると、本件事故現場はほぼ東西に通ずる車道の幅12.1メートルの歩道と車道の区別のある道路上で歩行者用および車両用の信号機の設置されているところであり、右道路上には幅12.6メートルの横断歩道が設けられており、歩行者および車両ともきわめて交通量の多い場所であること、佐藤は、加害車を運転して西から東に向つて進行し、前方の信号が赤であつたので、横断歩道の手前で中央寄りに停止したこと、当時加害車の左側にも併進状態で停止中の車両が二列に並んでおり、横断歩道の東側にも西行の車両が三列になつて停止していたこと、佐藤は、前方の信号が青になつたのを見て、左前方に気をとられて右前方の歩行者の有無を確認することなく、他の車両が停止中であるのに真先に発進し、時速約一〇キロメートルで西から東に向つて約一二メートル進んで横断歩道上を通過しようとしたとき、右前方約3.9メートルの横断歩道上を右から左に小走りで横断歩行中の原告に始めて気付き、急ブレーキをかけたが及ばず横断歩道の東端で北側の歩道から約6.5メートル南の地点で加害車の右前部を原告に衝突させてはねとばしたこと、原告は、青信号に従つて横断歩道の東端を南から北に向つて小走りで横断していたが、途中で前方の信号が赤にかわつたのに気づかず、横断中本件事故が発生したことが認められ、右認定を左右しうべき証拠はない。

以上認定の事実によれば、本件事故は、佐藤が加害車を運転し、幅員の相当広い道路の横断歩道手前で信号待ちのため停止していた際に、前方の信号が青にかわつたのをみたあと、なお横断歩道上に残つている歩行者の有無を確認してから発進するべき注意義務を怠つた重大なる過失によつて発生したもので、原告としては青信号に従つて横断歩道を横断中に途中で信号が赤にかわつた際には、停止中の車両が原告が横断し終わるまで待つてくれることを信頼して速かに横断し終る以外に方法はないものというべきであるから、本件事故発生については、佐藤の前記の重大な過失に対比すれば原告にはその損害額の算定についてしんしやくするべき過失はなかつたものと認められる。 (山本矩夫)

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